LEDの寿命(放熱設計の重要性) - 前編

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私は株式会社キーストーンテクノロジー社長を務める岡﨑聖一です。


今回のテーマは、LEDの寿命(放熱設計の重要性)です。

第三次植物工場ブームと言われる中、着実に人工光型植物工場の施設数と野菜生産量は増加しており、社会インフラとして認知されるステージになってきたと感じています。
人工光型植物工場の栽培光源は、数年前までは蛍光灯が主流を占めていました。それが最近ではLEDに主役の座を譲りつつあります。商業施設、オフィス、交通機関、自動車、家庭等生活の様々なシーンでLED照明が使われ、急速に普及してきました。皆さんは、CMや広告などでLEDは「省エネ」「長寿命」「熱を出さない」といったフレーズを見聞きしたことがあると思います。しかしながら照明士の資格を持つ私としては、誇大表現やミスリードに繋がる誤解を招く表現と感じています。
電気エネルギーを100%光エネルギーには変換できません。変換しきれなかったエネルギーはどうなるのでしょう?消えてなくなることはありません。エネルギー保存の法則により、熱エネルギーとして存在しています。今回は、LEDの寿命を大きく左右する熱エネルギーの取り扱い、つまり、放熱設計の重要性について語ります。
せっかくの機会なので、LEDとは何者なのかから解説します。LEDは「発光ダイオード」と呼ばれる半導体のことで、“Light Emitting Diode”の頭文字をとったもので、これまでの白熱ランプ、蛍光ランプ、水銀灯と異なり半導体結晶のなかで電気エネルギーが直接光を発するしくみを応用した半導体素子です。Lightは光、 Emitting は取り出すという意味を表し、DiodeのDiはギリシャ語で2の意味です。つまり、光を取り出す性質を持った2本足の半導体素子というのがLEDの名前の由来です。
熱設計の話に行く前に、照明と熱の関係について触れておきます。エジソンが発明した白熱電球は、電流を流すことで高温になった「フィラメント」から光を放射する仕組みです。発せられる光の多くは赤外線です。可視光よりも赤外線の方が多く出ているので電熱器が光っているようなものです。現在、市販されている白熱電球の多くは1000時間程度の寿命を持つと言われています。点灯中フィラメントはとても高温になるのに焼き切れることなく光り続けます。その秘密は、発せられる光の多くが赤外線なので、電球の中に熱が溜まらないからです。
さて、LEDの場合はどうでしょうか?明るく光るLEDの光を発する部位は「チップ」と呼ばれる半導体素子です。明るいからさぞかし大きな素子かと思いきや、実際は大きいものでも僅か1~2mm程度の小さなものです。意外でしたか?

少し長くなりましたので、このテーマは前後編に分けたいと思います。
続きは次回の更新でお届けいたします。